【第4話】コロナ禍で

コロナ禍の折、皆さま如何お過ごしでしょうか。

まさかこんな状況が訪れるとは想像もせずつけたタイトル「Photo Journey」だったが、「Trip」でも「Travel」でもない正に「Journey=困難や苦労を抱えた道中」そのもの。よくまあ、最適な単語を選んでいたものだ。

頑張ってみたり落ち込んでみたりしながら、それでも写真と向き合ってきたあっという間のこの約1年の私の「Photo Journey」について、今回はお話しようと思う。

「時間が足りな~い。時間が出来たらあれも!これも!」

社会人になってうん十年。いつもそう思っていたはずなのに・・・。こんなに長い間、おうち時間を得た。

新春の頃はまだやる気と元気があった。

春節客が訪日出来なくなった事もあり、珍しく空いているからとこれ幸いにお台場のデジタルアート撮影にチャレンジしたり、伊豆に写真撮影旅行に出かけたり。

それが凍り付いたのは春分の頃。

桜の撮影をとカメラを持って出かけたにも拘らず、新宿御苑のあまりの混み具合に「これは感染する!」と怖くなり、私は入り口で引き返した。

その2週間後には感染者が爆発的に増加し、世間も感染リスクに神経を尖らせる風潮となっていった。明らかに趣味のお出かけと思われるテニスラケットや楽器などを持って電車やバスに乗ってくる人が居たら、一斉に白い目が突き刺さる。私はカメラを持って出かける勇気を失った。

目の前にカメラがあっても、撮ろうという気持ちが湧かない。

たった一枚、写真を撮る。シャッターを切るのは本当はめちゃくちゃパワーがいることで、頭と心と体がちゃんと健康に動いてないとダメなんだと実感した。時間だけ有り余るほど与えられてもダメなのだ。

それからぐだぐだ数カ月。

やることもないので、おうち時間を活用して徹底的に断捨離をした。殆どの物を捨て去ったが、どうしても捨てられずに残った物があった。それは映画と音楽と写真関連。一般的には生きていくのに「不要!不急!」の類であるが、私にとっては「必要!」なものであることを改めて思い知らされた瞬間だった。

そして私は花屋に出かけた。

久しぶりの街はゴーストタウンと化していたが、私は何となく明るい気分になって明るい色の花を買い求めた。それからごそごそと三脚を引っ張り出し、テーブルにセッティングをし、順光だの逆光だのと教えられた知識を何とか思い出し、限られたスペースで精一杯の工夫をしながら久方ぶりにシャッターを切った。気が付くとあっという間に2時間ほどが経過していた。「やっぱり写真が好き!面白い!」

感染せず、感染させず。

カメラ道具を抱えて出歩く姿は他人様に不安を与えてしまうから、家の中でも写真を楽しめる方法をたくさん探そう。そう思った。

探し始めるといろいろなものに出会った。Web講座やYouTube配信など、楽しめるコンテンツがどんどん増えた。コロナ禍だからこそたくさん受講出来る。ラッキー!と思えるようになった。

気兼ねなく写真撮影に行けるようになる日に備えて、スキルを磨こう。前向きに。

安全に写真撮影に行けるようになったらどこに行こうかなぁ。

そう思えるようになると、また違ったコンテンツを活用するようになった。例えばGoogle アート&カルチャー。世界的な美術館がコラボして、驚異的なディテールで鑑賞出来る。作品によってはガイドツアーもある。色や技法で絞り込んで検索することも可能だ。美術館だけでなくストリートアートも楽しめる。写真を撮る際の被写体の選び方、色彩や構図の勉強にも大いに役立つ。

そういえば、ここに昔行ったなぁ。また行きたいなぁ。貯め込んでいた写真データと見比べる。

見ているとお出かけの虫がムズムズしてきて、感染者数の様子を伺いながら、実際に近場の写真展・美術展にも足を運び始めた。

こんな状況なので来客数は非常に少ない。入り口で検温されるし、来場者から感染者が発生した場合の連絡先も記入する。作品を鑑賞しながら大声でしゃべる人は当然いない。何かを触ることもない。まっすぐ行ってまっすぐ帰ってくれば、なかなか良いお出かけ先だと思われる。

コロナ禍でほったらかしになっていたInstagramも再開した。

1日1枚、写真をUpすることを目標に設定。毎日が小さな目黒展。お勉強だ。

その日の1枚を選ぶ。Instagramは画面に3枚横並びという決まりがあるので、前2日の写真とのつり合いを悩む。3の倍数で縦の並びが確定した時の親和性も考える。横X縦の規則性を考慮して、複合的にどの写真をどの順番でUpするのが良いかと思案する。撮影地・被写体・色味・テーマ性、etc。たった1枚選ぶのに考えなければならないことは山ほどある。

大変ではあるが、とても楽しい。

そして、世界中の方々がUpする写真を拝見するのはもっと楽しい。

コロナは大変な事態を招いた。然しながら、改めて自分自身と向き合い、色々なことを考え直す時間も与えてくれた。自分との向き合い方や視点次第で、新しい日常が戻ってきた時に備え、未来を描くことは出来ると私は信じたい。


写真・文:山田祥子

山田祥子(Yamada Yoshiko)プロフィール

構図講座をきっかけに、2014年からアルトフォーカスに参加。

幼いころからブローニー・二眼レフカメラ・ポラロイド・110フィルムなど様々なカメラに囲まれて育つ。新たに齢90を超える伯母愛用のカメラをまもなく譲り受ける予定(笑)。

国内外を暮らすように旅することが大好き。初渡航は数ヶ月かけてのアメリカ大陸横断旅行。以降、訪問国は数十ヶ国に上る。特にアフリカは20年以上前から度々訪れ、近年は年1回は欠かさず通っている状態。

実は趣味のゴスペルで、有名人の全国ツアー共演なども・・・。

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